6. 今後想定される災害
広島県で今後想定される自然災害から、私たちが学ぶべき重要な項目は以下の通りです。そして、地震や洪水などの自然災害が発生した場合の正しい避難と適切な準備と行動を知っておく必要があります。まず、台風や豪雨などの気象現象や地震について、正しい知識があることで、適切な対応ができます。また、災害が予想される地域では、身の周りや地域の点検が必要です。災害発生時には、長時間にわたり食料や水が確保できない場合があります。そのため、家庭で非常食や飲料水を備蓄することも必要です。また、怖さや不安、ストレスなどが感じられることがあります。そうした状況に備えて、災害時のメンタルケアも必要となります。これらの重要な項目をしっかりと学んで、次に示すような広島県でよく起こる自然災害に備えることが大切です。
【広島県】「自然災害は止められない。でも備えることはできる」 広島県 防災・災害情報ポータルサイト(危機管理課)6-1. 台風
(1) 過去の台風被害
台風は、7月から9月を中心に接近したり上陸したりするものが多く、広島県は毎年2~3回は台風の襲来に見舞われます。
【昭和20(1945)年枕崎台風】
枕崎台風は、昭和20年(1945年)に広島県を襲い、甚大な被害をもたらしました。雨の最も強かったのは17日21時7分から22時7分までの1時間で、57.1mmを記録しました。特に被害のひどかった呉地方では、この台風によって16日9時頃より降り始め、16時ごろ本格的な降り方となり風が相当強くなってきました。17日早暁、雨は依然として降り続いていましたが、風は一時的に弱まりました。10時ごろ、また風が出はじめ、午後になり雨と風とともに強さを増し、18時より22時に至る4時間の雨量は113.3mmに達しました。被害の最もひどかったのは、広島市、呉市及びその周辺で、県全体では死者総数2,012人を数えました。呉市では、雨が風とともに強さを増した17日午後から各河川渓流は著しく増水し、18時から22時までの113.3mmの降雨の中、大小全ての渓流が氾濫し、山腹の崩壊が相次ぎました。二河川の堤防決壊を初めとして各谷間より土石流が急斜面を押し流れ、あっという間に1,162戸の家屋が流失し、792戸が半壊、そして死者1,154名にものぼる大惨事となりました。この台風は、原爆投下直後の広島市を襲い、市街地が水没するなど、さらなる被害をもたらしました。呉市では、戦争による被害に加えてこの台風被害が重なり、市民に大きな打撃を与えました。大野村(現在の廿日市市大野町)では、丸石川で大規模な土石流が発生し、約180人が犠牲となりました。
出典:過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県
過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県 昭和20年9月『枕崎台風』 | 広島県【平成3(1991)年台風19号】
平成3年(1991年)9月27日に広島県を襲った台風19号は、広島地方気象台で最大瞬間風速58.9m/sを記録するなど、非常に強い風を伴う「風台風」でした。この台風は、九州西部に接近し長崎県佐世保市に上陸後、山口県萩市付近を通過し島根県沿岸沿いに進みました。
この台風により、広島県内では6名の死者が発生し、負傷者は49名(うち重傷者4名、軽傷者45名)にのぼりました。住家への被害も大きく、全壊50棟、半壊442棟、一部損壊22,661棟、床上浸水3,005棟、床下浸水9,162棟の合計35,320戸が被災しました。また、9月27日には県内配電戸数の66%に当たる96万戸が停電し、県民生活に多大な支障をきたしました。
この台風は広島県だけでなく、全国的にも大きな被害をもたらしました。日本全土での死者数は62名、負傷者数は1,261名に達しました。特に瀬戸内海沿岸では高潮による被害が発生し、広島市では広島港で最大潮位296cm、最大潮位偏差144cmを記録しました。農林水産業にも甚大な影響がありました。例えば、青森県ではリンゴの落果被害が顕著でした。全国的に見ると、26箇所で最大瞬間風速の観測記録を、12箇所で最大風速の観測記録を更新しました。また、広範囲にわたる停電も報告されています。この台風による保険支払額は史上最高の5,679億円に達しました。台風19号は、その強風と高潮による被害の規模から、平成時代初期の特筆すべき自然災害の一つとして記録されています。
出典:平成3年台風19号による高潮被害 | 高潮・津波災害ポータルひろしま
平成3年台風19号による高潮被害 | 高潮・津波災害ポータルひろしま 台風第19号 平成3年(1991年)9月25日~9月28日 | 気象庁【平成16(2004)年台風18号】
広島地方気象台では最大瞬間風速60.2m/sを記録し、台風18号は広島県に甚大な被害をもたらしました。瀬戸内海では小潮でしたが、広島県沿岸では満潮と重なり、呉港では台風16号で更新された最高潮位をさらに上回りました。人的被害は、死者5名、重傷者24名、軽傷者118名で、合計142名の負傷者が報告されています。住家被害は、全壊27棟、半壊204棟、一部損壊16,582棟、床上浸水860棟、床下浸水3,128棟となっています。
出典:平成16年台風16号・18号による高潮被害 | 高潮・津波災害ポータルひろしま
平成16年台風16号・18号による高潮被害 | 高潮・津波災害ポータルひろしま(2) 台風についての基礎知識
台風とは何か

台風は、熱帯や亜熱帯の海洋上で発生する熱帯低気圧のうち、赤道より北で東経100°~180°にあり、最大風速(10分間平均)が17.2m/s以上にまで発達したものです。
台風が発生するしくみは、海水が太陽の熱で暖められて蒸発し、水蒸気に変わります。水蒸気は反時計回りに渦を巻きながら上昇し、上昇気流が発生します。上昇した水蒸気は上空の冷たい空気で水滴になり、雲ができます。雲はやがて積乱雲へと成長します。水蒸気が水滴、雲へとなるとき、非常に多くの熱(潜熱)を大気中に放出します。この熱が周りの空気を暖めることで上昇気流が強まり、中心付近の気圧も下がります。これが繰り返し行われることで積乱雲はさらに発達し、台風(熱帯低気圧)へと成長していきます。
出典:台風のしくみ(知る防災) | 日本気象協会 tenki.jp
台風のしくみ(知る防災) | 日本気象協会 tenki.jp 台風ってどんなの? [PDF] (作成:日本赤十字社愛知県支部、名古屋地方気象台 監修:愛知工業大学地域防災研究センター)台風の季節

台風は1年中発生する可能性がありますが、日本においては特に5月から11月にかけて影響を受けることが多くなります。その中でも、7月から10月にかけては日本に接近・上陸する台風が増加します。
台風が日本に接近すると、強風や大雨、高波、高潮などの現象が発生し、多くの人々や建物、農作物などに被害をもたらす可能性があります。
特に8月から9月にかけては台風の発生数と上陸数が最も多くなる傾向にあります。このため、風水害に備えて、家屋の点検や排水溝や雨どいの清掃など水はけの確認、食料や飲料水の備蓄、非常用持ち出し袋の準備、避難場所や避難経路の確認などの防災対策を行うことが必要です。
出典:大雨や台風による災害は毎年発生 | 政府広報オンライン
大雨や台風による災害は毎年発生 | 政府広報オンライン台風の強さと大きさ

台風の強さは最大風速によって「強い」「非常に強い」「猛烈な」の3段階に分けられます(これより弱い場合は階級なし)。
- 強い: 最大風速 33m/s(64ノット)以上 ~ 44m/s(85ノット)未満
- 非常に強い: 最大風速 44m/s(85ノット)以上 ~ 54m/s(105ノット)未満
- 猛烈な: 最大風速 54m/s(105ノット)以上
台風の大きさは、風速15m/s以上の「強風域」の半径によって「大型(大きい)」「超大型(非常に大きい)」の2段階に分けられます(これより小さい場合は階級なし)。
- 大型(大きい): 強風域の半径 500km以上 ~ 800km未満
- 超大型(非常に大きい): 強風域の半径 800km以上
出典:台風の大きさと強さ | 気象庁
台風の大きさと強さ | 気象庁 台風の「強さ」「大きさ」の種類 | ウェザーニュース台風の進路

台風は熱帯低気圧から発生し、上空を流れる風(指向流)によって動きます。台風が多く発生する熱帯地方では貿易風(東風)の影響で西へ進むことが多いです。その後、太平洋高気圧の縁を回るように北上し、中緯度帯に達すると偏西風(西風)に乗って北東へ進む傾向があります。ただし、台風の進路は周辺の気圧配置などによって複雑に変化し、予測が難しい場合もあります。
現在の台風情報や進路予想は、気象庁や各気象情報サービスで確認できます。
出典:台風はどのように動くのか | 気象庁関連リンク:
台風はどのように動くのか | 気象庁 台風情報のみかた | tenki.jp NHK 台風進路予想 気象庁 台風情報 日本気象協会 tenki.jp 台風情報 ウェザーニュース 台風情報台風の影響

台風は強風(暴風)、大雨、高波、高潮などの激しい現象を引き起こし、甚大な被害をもたらすことがあります。主な被害としては、以下のようなものが挙げられます。
- 風による被害: 看板や屋根が飛ばされる、窓ガラスが割れる、樹木が倒れる、電柱が倒れて停電する、建物が倒壊する。
- 雨による被害: 河川の氾濫、洪水、内水氾濫(排水が追いつかず市街地などが浸水)、土砂災害(がけ崩れ、土石流、地すべり)。
- 高波による被害: 海岸堤防の破壊、船舶の被害、海岸付近の施設の浸水・破壊。
- 高潮による被害: 台風による気圧低下(吸い上げ効果)と強風(吹き寄せ効果)で海面が異常に上昇し、沿岸部が広範囲に浸水する。
- その他の被害: 交通機関の麻痺、ライフラインの寸断、塩害(海水が内陸まで運ばれる)。
避難指示などの避難情報が発令された場合には、速やかに安全な場所に避難する必要があります。日頃から避難場所や避難経路を確認し、防災情報に注意を払うことが重要です。
出典:台風に伴う風や雨 | 気象庁
台風に伴う風や雨 | 気象庁 台風による災害とは | Yahoo! JAPAN 天気・災害(3) 台風の予報と対策

ア. 台風に関する最新情報の収集と速やかな行動
台風に備えるためには、テレビ、ラジオ、インターネット(気象庁、自治体の防災情報、信頼できるニュースサイトなど)、防災アプリなどを通じて最新の台風情報をこまめに確認し、落ち着いて迅速に行動することが大切です。台風の接近が予想される場合は、事前に自分や家族が取るべき行動を時系列で整理した計画(マイ・タイムライン)を作成しておくと、いざという時に慌てずに行動できます。備蓄品の確認、家の周りの片付け、避難準備などをどのタイミングで行うか決めておきましょう。
「ひろしまマイ・タイムライン」 | 広島県「みんなで減災」はじめの一歩イ. 避難場所や避難経路の確認
お住まいの市町村が作成・配布しているハザードマップや、県の防災情報サイトなどで、自宅周辺の災害リスク(洪水、土砂災害、高潮など)と、指定された避難場所(指定緊急避難場所、指定避難所)を確認しましょう。避難場所までの安全な経路を複数確認しておくことが重要です。特に夜間や悪天候時の移動も想定しておきましょう。
避難情報 広島県防災Web ハザードマップポータルサイト | 国土地理院ウ. 非常用の食料や飲料水を備蓄すること

台風の影響で停電・断水が発生したり、物流が滞って食料品が手に入りにくくなることがあります。最低3日分、できれば1週間分を目安に、飲料水(1人1日3リットル目安)、食料(アルファ米、缶詰、レトルト食品、栄養補助食品など)、簡易トイレ、生活用水などを備蓄しましょう。普段使う食料品を少し多めに買い置きし、消費したら買い足す「ローリングストック法」が無理なく続けやすいです。
エ. 台風前の点検とメンテナンス
台風が来る前に、家の周りを点検しましょう。
- 窓や雨戸はしっかり閉め、必要なら補強する。
- 庭木の枝を剪定したり、支柱で補強する。
- 物干し竿、植木鉢、ゴミ箱など、風で飛ばされそうなものは室内に入れるか、飛ばないように固定する。
- 側溝や雨どいが詰まっていないか確認し、掃除しておく(浸水対策)。
- 屋根瓦やアンテナの状態を確認する(可能な範囲で)。
オ. 避難先の確保
自宅が危険な場所にある場合(ハザードマップで浸水想定区域や土砂災害警戒区域になっているなど)は、早めに避難することが重要です。指定された避難場所だけでなく、安全な場所にある親戚や友人の家なども避難先として考えておきましょう。
カ. 小中高校生のできる防災ボランティア活動
大きな災害が発生した後は、ボランティア活動が復旧・復興の大きな力となります。小中高校生でも、安全に配慮した上でできる活動があります。例えば、地域の清掃活動、避難所での簡単な手伝い(受付、物資の仕分けなど)、募金活動、防災啓発活動への参加などが考えられます。まずは、家庭内でできる防災活動(家の片付け、備蓄の確認、家族との連絡方法の確認など)から始め、地域の防災訓練などに積極的に参加することも大切です。
参考リンク:
台風接近前にやっておきたい備え「タイムライン」で | NHK災害列島命を守るサイト 大雨や台風に備えて [PDF] | 気象庁 中学生用防災教育副読本 [PDF] | 高知県教育委員会(参考例) デジタル台風:リアルタイム雨雲レーダー(気象レーダー)画像(Google Maps版)) ひまわりが取得した画像・動画 気象庁6-2. 集中豪雨
(1) 過去の集中豪雨被害
広島県では、近年、集中豪雨による被害が深刻化しています。ここでは、広島県で起こった主な集中豪雨被害についてまとめます。
【平成26(2014)年8月豪雨】
2014年8月19日夜から20日未明にかけて、広島市北部を中心に局地的に猛烈な雨が降りました。安佐北区の観測点では1時間に100mmを超える雨量を記録し、短時間で総雨量が200mmを超える場所もありました。この豪雨により、特に安佐南区八木・緑井地区、安佐北区可部東地区などで大規模な土砂災害(土石流、がけ崩れ)が多発し、死者77人(災害関連死含む)、負傷者68人という甚大な人的被害が発生しました。建物被害も全壊179棟、半壊217棟などにのぼりました。
出典:平成26年8月豪雨 | 過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県
平成26年8月豪雨 | 過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県【平成30(2018)年7月豪雨(西日本豪雨)】
2018年7月5日から8日にかけて、西日本を中心に広範囲で記録的な大雨となり、広島県内でも甚大な被害が発生しました。県内の広い範囲で総雨量が400mmを超え、多いところでは700mm以上に達しました。これにより、多数の河川が氾濫し、広範囲での浸水被害や、大規模な土砂災害が各地で発生しました。県内の死者は151人(災害関連死含む)、行方不明者は5人(2022年6月時点)、負傷者は147人、住家被害は全壊1176棟、半壊2183棟、床上浸水3,180棟など、極めて大きな被害となりました。特に呉市、東広島市、三原市、広島市安芸区、坂町などで被害が集中しました。
出典:平成30年7月豪雨に関する情報 | 広島県
平成30年7月豪雨に関する情報 | 広島県 平成30年7月豪雨 | 過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県【令和2(2020)年7月豪雨】
令和2年7月にも、九州地方を中心に豪雨被害が発生しましたが、広島県内でも東広島市河内町宇山において大規模な斜面崩壊が発生し、2名の方が亡くなるなどの被害が出ました。
出典:
令和2年7月豪雨災害 道路災害復旧工事【完成】(河内町宇山) | 広島県【令和3(2021)年8月豪雨】
令和3年(2021年)8月にも、西日本を中心に大雨となり、広島県内でも被害が発生しました。広島市安佐北区の鈴張川が氾濫し浸水被害が出たほか、土砂災害も発生し、広島市内で死者1名、住家被害(全壊・半壊など)も多数確認されました。
出典:令和2年7月豪雨災害 道路災害復旧工事【完成】(河内町宇山) | 広島県
令和3年8月の大雨(8月11日~19日)による被害について | 広島市 令和3年8月の大雨による被害状況等について [PDF] | 内閣府これらの事例から、広島県では集中豪雨による土砂災害と河川の氾濫による浸水被害が特に多いことがわかります。短時間に局地的に降る激しい雨(ゲリラ豪雨)や、長時間降り続く大雨(線状降水帯など)に十分な警戒が必要です。
(2) 集中豪雨についての基礎知識

集中豪雨とは何か
集中豪雨とは、狭い地域で短時間に大量の雨が降る現象を指します。明確な定義はありませんが、一般的に1時間に50mm以上の非常に激しい雨や、数時間に100mm以上の雨が降る場合などを指すことが多いです。近年では「ゲリラ豪雨」とも呼ばれます。また、積乱雲が次々と発生・発達し、線状に連なって同じ場所を通過または停滞することで、数時間にわたって激しい雨が降り続く「線状降水帯」も集中豪雨の一種であり、大規模な災害を引き起こす原因となります。
集中豪雨はどんな時に起こるか
集中豪雨は、大気の状態が非常に不安定なときに発生しやすくなります。具体的には、以下のような条件が重なると発生リスクが高まります。
- 暖かく湿った空気の流入: 地上付近に大量の水蒸気を含んだ暖かく湿った空気が流れ込む。
- 上空の寒気の流入: 上空に冷たい空気が流れ込み、地上との温度差が大きくなる(大気が不安定になる)。
- 上昇気流の発生: 地形の効果(風が山にぶつかる)、前線(温暖前線、寒冷前線、梅雨前線、秋雨前線など)、低気圧、上空の気圧の谷などによって、強い上昇気流が発生する。
これらの条件が揃うと、積乱雲が急速に発達し、短時間で大量の雨を降らせます。特に、梅雨末期や台風シーズン、秋雨の時期は集中豪雨が発生しやすい季節です。

集中豪雨の強さ(雨の降り方と危険度)
気象庁では、雨の強さを以下のように表現し、注意を呼びかけています。
- やや強い雨 (1時間に10mm~20mm未満):ザーザー降り。地面からの跳ね返りで足元がぬれる。
- 強い雨 (1時間に20mm~30mm未満):どしゃ降り。傘をさしていてもぬれる。
- 激しい雨 (1時間に30mm~50mm未満):バケツをひっくり返したように降る。道路が川のようになる。(注意報級)
- 非常に激しい雨 (1時間に50mm~80mm未満):滝のように降る(ゴーゴーという感じ)。傘は全く役に立たなくなる。水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる。車の運転は危険。(警報級)
- 猛烈な雨 (1時間に80mm以上):息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる。雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要。(特別警報級)
1時間に50mm以上の「非常に激しい雨」が降ると、都市部での浸水や中小河川の急な増水・氾濫、土砂災害のリスクが急激に高まります。
出典: 雨の強さと降り方 | 気象庁
集中豪雨の予測

集中豪雨、特にゲリラ豪雨のような局地的な現象をピンポイントで予測することは依然として難しい面がありますが、予測技術は向上しています。気象庁は、大雨警報や洪水警報、土砂災害警戒情報などの防災気象情報に加え、今後の雨量予測や危険度を地図上で色分けして示す「キキクル(危険度分布)」を提供しています。また、線状降水帯による大雨の可能性については、半日前から「顕著な大雨に関する気象情報」として発表されるようになりました。これらの情報を活用し、早めの備えや避難行動につなげることが重要です。
出典・関連リンク:
キキクル(危険度分布) | 気象庁 線状降水帯に関する情報 | 気象庁 線状降水帯の予測が変わる (動画) | 広島ホームテレビ集中豪雨の影響
集中豪雨は、以下のような様々な影響・被害を引き起こします。
- 河川の氾濫・洪水: 河川の水位が急上昇し、堤防を越えたり決壊したりして、広範囲に浸水被害をもたらす。
- 内水氾濫: 短時間に大量の雨が降ることで、下水道や排水路が処理能力を超え、マンホールから水が噴き出したり、道路や住宅地が浸水する。都市部で起こりやすい。
- 土砂災害: 地盤が緩み、がけ崩れ、土石流、地すべりが発生する。
- 交通機関への影響: 道路の冠水、鉄道の運転見合わせ、航空機の欠航などが発生する。
- ライフラインへの影響: 停電、断水、通信障害などが発生することがある。
- 農業への影響: 農地の冠水、農作物の流失・損傷、農業用施設の破壊など。
- 水質汚染: 土砂や汚水が河川に流れ込み、水質が悪化することがある。
(3) 集中豪雨の予報と対策
ア. 集中豪雨に関する最新情報の収集と速やかな行動
大雨が予想される場合や、実際に降り始めたら、テレビ、ラジオ、インターネット、防災アプリなどを通じて、気象情報(警報・注意報、キキクル、今後の雨量予測など)や自治体からの避難情報(警戒レベル)をこまめに確認しましょう。危険が迫っていると判断される場合は、早めに安全な場所へ避難するなど、速やかに行動することが重要です。事前に作成したマイ・タイムラインも参考にしましょう。
イ. 避難場所や避難ルートについて知る
ハザードマップで自宅周辺の浸水リスクや土砂災害リスクを確認し、指定された避難場所(指定緊急避難場所、指定避難所)とそこまでの安全な経路を事前に把握しておきましょう。特に、冠水しやすいアンダーパスや、土砂災害の危険がある崖沿いなどを避けるルートを選びましょう。
ウ. 水害に備えた対策を考える
自宅が浸水する可能性がある場合は、土のうや水のう(ゴミ袋に水を入れたもの)を準備したり、家財や貴重品を高い場所へ移動させる準備をしておきましょう。床下収納のものは事前に移動させておくことも有効です。
エ. 雨具や水の確保について考える
避難時に備えて、雨具(レインコート、長靴など)や着替え、タオルなどを準備しておきましょう。断水に備えた飲料水や生活用水の確保も重要です。
オ. 危険な場所には近づかない
大雨が降っている時や降った後は、増水した河川や用水路、冠水した道路(特にアンダーパス)、崖や斜面など、危険な場所には絶対に近づかないようにしましょう。用水路などは水の流れで境界が見えにくくなり、転落の危険があります。
カ. 家屋や建物の点検
日頃から、雨どいや排水溝が詰まっていないか点検・清掃しておきましょう。家の周りに飛ばされやすいものを置かないことも大切です。
キ. ボランティア活動への参加

災害発生後、安全が確認され、募集が行われている場合には、ボランティア活動に参加することも復興支援の一つです。ただし、参加にあたっては、現地の状況や募集情報をよく確認し、無理のない範囲で活動することが重要です。事前のボランティア保険への加入なども検討しましょう。
6-3. 洪水
(1) 過去の洪水被害
広島県は多くの河川があり、過去に洪水による被害を何度も経験しています。集中豪雨と関連して発生することが多く、特に大きな河川の下流域や、中小河川の流域で被害が発生しています。
【昭和47(1972)年7月豪雨】
梅雨前線の活発化により、中国地方で記録的な大雨となりました。特に広島県北部を流れる江の川が大規模に氾濫し、三次市や庄原市などで甚大な浸水被害が発生しました。県全体で死者・行方不明者39人、家屋全壊1,477戸など、大きな被害をもたらしました。
出典:昭和47年7月豪雨災害(三次市・庄原市) | 広島県
昭和47年7月豪雨災害(三次市・庄原市) | 広島県【平成11(1999)年6.29豪雨災害】
梅雨前線による集中豪雨で、広島市佐伯区、安佐北区や呉市、東広島市などで短時間に猛烈な雨が降りました。中小河川の氾濫や土砂災害が多発し、県内で死者・行方不明者32人、床上・床下浸水合わせて約3,800戸という大きな被害が出ました。特に広島市内の八幡川や、呉市内の二河川などで氾濫が発生しました。
出典:平成11年6月豪雨 | 過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県
平成11年6月豪雨 | 過去の主な土砂災害 | 土砂災害ポータルひろしま | 広島県【平成30(2018)年7月豪雨(西日本豪雨)】
記録的な大雨により、県内各地の河川が氾濫しました。特に、沼田川(三原市)、芦田川水系(福山市など)、太田川水系(広島市など)、黒瀬川(東広島市・呉市)、江の川(三次市など)など、多くの河川で堤防の決壊や越水が発生し、広範囲にわたる深刻な浸水被害をもたらしました。土砂災害と複合して発生した地域も多く、県内で100人を超える方が亡くなる最大の要因の一つとなりました。
出典: (前述の平成30年7月豪雨の出典を参照)
これらの被害事例から、広島県では大きな河川だけでなく、中小河川においても氾濫による洪水リスクが高いことがわかります。また、土砂災害と洪水が同時に発生する「土砂・洪水氾濫」にも注意が必要です。
(2) 洪水についての基礎知識

洪水とは何か
洪水とは、大雨や雪解けなどによって河川の水量が著しく増加し、通常の河道から水があふれ出す(氾濫する)現象、または堤防が決壊して水が流れ出す現象のことです。これにより、周辺の土地や家屋、農地などが水に浸かる被害(浸水被害)が発生します。洪水は大きく分けて以下の種類があります。
- 外水氾濫: 河川の水が堤防を越えたり、堤防が決壊したりして起こる洪水。広範囲に被害が及ぶことが多い。
- 内水氾濫: 市街地などに短時間で大量の雨が降った際、下水道や排水路の処理能力を超えてしまい、マンホールから水が噴き出したり、道路や土地が水浸しになる現象。
- 高潮: 台風や発達した低気圧に伴い、海面が異常に上昇し、沿岸部が浸水する現象。河川の氾濫とはメカニズムが異なるが、広義の洪水被害に含まれることがある。
洪水の原因やメカニズム
洪水の主な原因は、河川の流量がその河川の許容量(流下能力)を超えることです。流量が増加する要因としては、以下が挙げられます。
- 長時間の降雨: 梅雨前線や秋雨前線、台風などにより、広い範囲で長時間雨が降り続く。
- 集中豪雨: 短時間に局地的に大量の雨が降る。
- 融雪: 春先に気温が上昇し、山間部の雪が一気に解けて河川に流れ込む(雪解け洪水)。
- 上流のダム放流: 大雨によりダムが満水に近づいた際、ダムの安全確保のために行われる緊急放流。
- 河道の閉塞: 土砂崩れや流木などが河道を塞ぎ、水位が上昇する。
これらの要因により河川の水位が上昇し、堤防を越えたり(越水)、堤防が水の圧力や浸食によって壊れたり(決壊)すると、洪水が発生します。
洪水はどんな時に起こりやすいか
洪水は、以下のような状況で発生リスクが高まります。
- 梅雨時期、台風シーズン、秋雨時期: 長時間の大雨や集中豪雨が発生しやすい。
- 河川の合流点付近: 複数の河川からの水が集まり、流量が増加しやすい。
- 河口付近: 潮の満ち引きの影響を受け、満潮時と大雨が重なると水位が上昇しやすい。
- 堤防が低い、または整備されていない箇所: 氾濫しやすい。
- 都市部: 地面がアスファルトなどで覆われ、雨水が浸透しにくいため、内水氾濫が起こりやすい。
気象庁や自治体から発表される大雨警報、洪水警報、河川の水位情報、避難情報などに常に注意を払う必要があります。
洪水の影響
洪水が発生すると、人々の生命や財産、社会インフラに甚大な被害をもたらします。
- 人的被害: 溺れる、洪水流に流される、家屋倒壊に巻き込まれるなどにより死傷者が出る。避難生活による健康悪化(災害関連死)も問題となる。
- 建物被害: 家屋やビルなどが浸水し、床上浸水・床下浸水となる。水の力や流木などにより、建物が破壊・流失することもある。
- ライフライン被害: 電気、ガス、水道、通信設備などが水没・破損し、長期間利用できなくなる。
- 交通網被害: 道路や鉄道が冠水・寸断され、通行止めになる。橋が流失することもある。
- 経済的被害: 農地や工場、店舗などが浸水し、農作物や商品、設備などが被害を受け、経済活動が停滞する。
- 衛生環境の悪化: 下水が逆流したり、ゴミや汚泥が流れ込んだりして、感染症のリスクが高まる。
- 土砂災害の誘発: 河岸が浸食されて崩れたり、洪水流が土砂を運び土砂災害を誘発することもある。
(3) 洪水の予報と対策
洪水による被害を軽減するためには、事前の備えと早めの避難が重要です。
洪水に関する情報の種類と入手方法
- 気象警報・注意報: 気象庁が発表。大雨警報、洪水警報、大雨特別警報など。
- キキクル(危険度分布): 気象庁が発表。洪水害の危険度を地図上で色分け表示。
- 指定河川洪水予報: 気象庁と国・都道府県が共同で、特定の河川について氾濫の危険度を発表。「氾濫注意情報」「氾濫警戒情報」「氾濫危険情報」「氾濫発生情報」の4段階。
- 河川水位情報: 国や都道府県が観測・公表。リアルタイムの水位や、避難判断の目安となる水位(氾濫注意水位、避難判断水位、氾濫危険水位)を確認できる。
- 避難情報: 市町村が発令。「高齢者等避難(警戒レベル3)」「避難指示(警戒レベル4)」「緊急安全確保(警戒レベル5)」など。警戒レベル4までに必ず避難することが原則。
これらの情報は、テレビ、ラジオ、インターネット(気象庁、国交省「川の防災情報」、県の河川防災情報システム、市町村HP、ニュースサイト)、防災アプリなどで入手できます。
関連リンク:
洪水キキクル(危険度分布) | 気象庁 川の防災情報 | 国土交通省 広島県河川防災情報システム洪水への対策
- ア. ハザードマップの確認: 自宅や学校、勤務先などが浸水想定区域に入っているか、浸水の深さはどれくらいか、避難場所はどこか、安全な避難経路はどこか、などを事前にハザードマップで確認する。
- イ. 避難計画(マイ・タイムライン)の作成: いつ、誰が、何をするか、どこへ避難するかなどを家族で話し合い、計画を立てておく。
- ウ. 備蓄品の準備: 飲料水、食料、簡易トイレ、常備薬、モバイルバッテリー、懐中電灯などを準備しておく(最低3日分、推奨1週間分)。
- エ. 家屋の浸水対策: 土のうや水のうの準備、防水板の設置、家財や貴重品を高い場所へ移動させる準備などを行う。
- オ. 情報収集手段の確保: スマートフォン、携帯ラジオなどを準備し、常に最新情報を入手できるようにしておく。
- カ. 早めの避難: 避難情報が発令された場合や、身の危険を感じた場合は、ためらわずに早めに避難を開始する。特に夜間の避難は危険なため、明るいうちの避難を心がける。避難場所へ行くのが危険な場合は、自宅の2階以上や近くの頑丈な建物の高い階へ避難する「垂直避難」も検討する。
中学生・高校生も、ハザードマップの確認や避難計画の作成に積極的に関わり、家族や地域の人々と防災について話し合うことが大切です。
6-4. 土砂災害
(1) 過去の土砂災害被害
広島県は、風化しやすい花崗岩(マサ土)が広く分布し、急峻な地形が多いことから、全国的に見ても土砂災害が発生しやすい地域です。過去に多くの豪雨により甚大な土砂災害が発生しています。
【昭和42年(1967年)7月豪雨】
呉市を中心に記録的な豪雨となり、大規模な土石流やがけ崩れが多発しました。特に呉市では甚大な被害となり、県全体で死者・行方不明者159名という、広島県の土砂災害史上最悪の被害となりました。
昭和42年7月豪雨 | 土砂災害ポータルひろしま【平成11(1999)年6.29豪雨災害】
広島市や呉市などで局地的な集中豪雨により、土石流やがけ崩れが139箇所、186箇所で発生し、死者・行方不明者32名という大きな被害が出ました。市街地に近い場所でも土砂災害が発生しました。
平成11年6月豪雨 | 土砂災害ポータルひろしま【平成26(2014)年8月豪雨】
広島市安佐南区・安佐北区を中心に、短時間の局地的豪雨により、多数の土石流やがけ崩れが同時多発的に発生しました。深夜の発生だったこともあり、死者77名(災害関連死含む)という甚大な人的被害につながりました。
平成26年8・20土砂災害(広島市) | 広島県【平成30(2018)年7月豪雨(西日本豪雨)】
県内各地で記録的な大雨となり、広範囲で多数の土砂災害が発生しました。土石流、がけ崩れ、地すべりなど様々なタイプの土砂災害が発生し、洪水被害と合わせて県内で100名を超える方が亡くなる大きな要因となりました。特に、土砂が河川に流れ込み、下流で氾濫する「土砂・洪水氾濫」も各地で見られました。
平成30年7月豪雨 | 土砂災害ポータルひろしまその他の災害記録:
中国地方の自然災害記録(明治時代以降) | 中国建設弘済会(2) 土砂災害についての基礎知識

土砂災害とは
土砂災害とは、大雨や地震などが引き金となって、山やがけが崩れたり、土や石、流木などが水と混じって(あるいはそのまま)流れ下ったりして、人命や家屋に被害を及ぼす災害のことです。広島県のように花崗岩が風化してできた「マサ土」と呼ばれる崩れやすい土壌が広く分布する地域や、急な斜面が多い地域では特に注意が必要です。
参考リンク:
「土砂災害」ってなに? | 国土交通省 太田川河川事務所 土砂災害から身を守るには? ハザードマップ 避難の3つのポイント | NHK 【広島土砂災害】「歴史は警告する~土砂災害と広島~」(動画) | RCC NEWS DIG 全国における土砂災害警戒区域等の指定状況 [PDF] (2024/6/30時点) | 国土交通省 広島県 土砂災害警戒区域等指定箇所数一覧表 [PDF] (R6.3.28時点) | 広島県土砂災害の種類
土砂災害は、主に以下の3つの種類に分けられます。
- 土石流(どせきりゅう): 山腹や川底の土・石・砂などが、長雨や集中豪雨による水と混じり合って、一気に谷や川を流れ下る現象。流れが非常に速く(時速20~40km以上)、破壊力が大きいのが特徴。
- がけ崩れ(急傾斜地の崩壊): 急な斜面(がけ)が、大雨による水のしみ込みや地震の揺れなどによって、突然崩れ落ちる現象。発生から到達までの時間が非常に短いため、人家の近くで発生すると逃げ遅れる危険性が高い。
- 地すべり: 比較的ゆるやかな斜面で、地面の下にある粘土層など滑りやすい層(すべり面)の上にある土の塊が、地下水の影響などを受けて、広い範囲にわたってゆっくりと下方へ移動する現象。一度に広範囲が動くため、家や道路、田畑などに大きな被害を及ぼすことがある。
参考リンク:
風水害を知ろう 土砂災害とは? | 広島県「みんなで減災」 土砂災害ってなに? 何でがけは崩れるの? 素因と誘因って? (動画)土石流
特徴: 谷や沢に沿って、大量の土砂や石、流木などが水と一体となって高速で流れ下る。破壊力が非常に大きい。
被害: 流れの経路にある家屋や道路、橋などを破壊・埋没させる。河川を塞き止めて洪水を引き起こすこともある。

前兆現象:
- 山鳴り(ゴーッという音)がする。
- 川の水が急に濁ったり、流木が混じり始める。
- 雨が降り続いているのに川の水位が下がる(上流で土砂が堰き止めている可能性)。
- 腐った土のにおいがする。
- 石がぶつかり合う音(カランカラン、ゴロゴロ)が聞こえる。
参考リンク:
土石流CG動画 | 砂防・地すべり技術センター 【みんなで防災プロジェクト】土石流のメカニズム (動画) | 広テレ!NEWS
がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)
特徴: 急な斜面が突然崩れ落ちる。前触れがほとんどなく、発生から到達までが非常に早い。
被害: 崩れた土砂が人家や道路を直撃し、押しつぶしたり埋めたりする。人的被害に結びつきやすい。
前兆現象:
- がけから水が湧き出ている、または湧き水が濁っている。
- がけに亀裂(ひび割れ)が入っている。
- 小石がパラパラと落ちてくる。
- がけから音がする(木の根が切れる音など)。
- 擁壁(ようへき)にひび割れが入ったり、膨らんだりしている。

地すべり
特徴: 比較的緩やかな斜面で、広い範囲の地面がゆっくりと動き出す。動きは遅いことが多いが、突然速くなることもある。
被害: 家屋、道路、田畑などが広い範囲で移動・変形・破壊される。河川を塞き止めて洪水を引き起こす(天然ダム)。
前兆現象:
- 地面にひび割れや段差ができる。
- 沢や井戸の水が濁る。
- 斜面から水が噴き出す。
- 家や擁壁、電柱などが傾く。
- 池や沼の水位が急に変わる。
- 樹木が傾く。
(3) 土砂災害の予報と対策
土砂災害から身を守るためには、以下の3つのポイントが重要です。


-
自分のいる場所の危険性を知る:
まず、自宅や学校、よく行く場所などが土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域(通称: イエローゾーン、レッドゾーン)に指定されていないか、ハザードマップで確認しましょう。これらの区域は、土砂災害が発生した場合に被害を受ける可能性のある範囲を示しています。
確認ツール:
土砂災害ポータルひろしま (土砂災害危険箇所・警戒区域等マップ) | 広島県 重ねるハザードマップ (DOBOX) | 広島県 ハザードマップポータルサイト | 国土地理院 -
避難のきっかけとなる情報を知る:
大雨が降り始めたら、土砂災害の危険度が高まっていることを示す情報に注意しましょう。
- 大雨警報(土砂災害): 命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況になったときに発表。(警戒レベル3相当)
- 土砂災害警戒情報: さらに危険度が高まり、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない非常に危険な状況になったときに、都道府県と気象庁が共同で発表。市町村が避難指示(警戒レベル4)を発令する目安となる情報。(警戒レベル4相当)
- キキクル(土砂災害の危険度分布): 土砂災害発生の危険度を地図上で色分け(紫や黒は極めて危険)してリアルタイムで表示。避難の判断に役立つ。
情報入手先:
土砂キキクル(危険度分布) | 気象庁 広島県土砂災害危険度情報 -
早めの避難を心がける:
避難指示(警戒レベル4)が発令されたら、危険な場所にいる人は全員、速やかに安全な場所へ避難しましょう。土砂災害警戒情報が発表された場合も、避難指示が出ていなくても危険を感じたら自主的に避難することが重要です。特に、夜間に大雨が予想される場合は、暗くなる前に避難を完了することが望ましいです。高齢者や支援が必要な方は、高齢者等避難(警戒レベル3)の段階で避難を開始しましょう。
避難場所確認:
避難場所を探す | 広島県防災Web 広島県の避難場所マップ | Yahoo!天気・災害 避難場所一覧 | 広島市
前兆現象に気づいたら直ちに避難! 上記で説明したような土石流、がけ崩れ、地すべりの前兆現象に気づいた場合は、情報が出ていなくても、すぐに周囲の人に知らせ、安全な場所(頑丈な建物の2階以上、斜面から離れた場所など)へ避難してください。
参考リンク:
土砂災害から身を守る3つのポイント | 政府広報オンライン (土砂災害編)警戒レベルに関する映像資料 | 内閣府 土砂災害の前兆を知って命を守ろう | NHK 知っておこう!土砂災害から命を守るために (動画) | 東京都6-5. 地震
(1) 広島県に被害をもたらした地震について
広島県も、過去に地震による被害を経験しています。主なものとしては、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込むことに伴って発生する安芸灘(あきなだ)周辺の地震(例: 2001年芸予地震 M6.7 最大震度6弱)や、県外の南海トラフ沿いで発生する巨大地震(例: 1946年昭和南海地震 M8.0 広島県内で震度4~5)の影響が挙げられます。また、数は少ないものの、県内の活断層による地震のリスクや、県北部などの陸域で発生する浅い地震による被害も記録されています。
出典・参考リンク:
広島県に被害をもたらした主な地震について | 広島地方気象台 (内部リンク)広島県でも大規模な地震が起こる可能性がある(2) 地震についての基礎知識
地震はなぜ起こるのか

地震は、主に地球の表面を覆う十数枚の硬い岩盤「プレート」が動くことによって発生します。プレートは年間数cm程度の速さでそれぞれ異なる方向に移動しており、その境界部ではプレート同士がぶつかったり、すれ違ったり、一方が他方の下に沈み込んだりしています。この動きによってプレート境界付近の岩盤に大きな力(ひずみ)が蓄積し、限界に達すると岩盤が急激に破壊されたり、ずれたりします。この破壊やずれが「断層運動」であり、その際に発生する揺れが地震です。
地震が発生する場所(断層運動が始まった点)を「震源」、震源の真上の地表の点を「震央」といいます。地震はプレート境界だけでなく、プレート内部の既存の断層(活断層)が動くことによっても発生します(例: 阪神・淡路大震災、熊本地震、能登半島地震)。
出典・参考リンク:
地震発生のしくみ | 気象庁 地球の声を聞こう 地震はなぜ起こるの (動画) | NHK for School 【地震の仕組み】地震のメカニズムと特徴【解説】(動画) | デザーブ朝日新聞社 日本には地震が多いのはなぜ (動画) | NHK for School 中国・四国地方の地震活動の特徴 | 地震調査研究推進本部地震の規模(マグニチュード)と揺れの強さ(震度)
地震について語られる際、「マグニチュード」と「震度」という言葉が使われますが、これらは異なるものを表します。
- マグニチュード (M): 地震そのもののエネルギーの大きさ(規模)を表す尺度です。マグニチュードが1増えるとエネルギーは約32倍、2増えると約1000倍になります。一つの地震に対してマグニチュードの値は一つだけです。
- 震度: ある場所での地震による揺れの強さを表す尺度です。日本では気象庁が定める震度階級(0, 1, 2, 3, 4, 5弱, 5強, 6弱, 6強, 7 の10段階)が用いられます。震度は、震源からの距離、震源の深さ、地盤の固さなどによって場所ごとに異なります。同じマグニチュードの地震でも、震源が浅い場合や地盤が軟らかい場所では震度が大きくなる傾向があります。
例えば、東日本大震災はM9.0で、宮城県栗原市で最大震度7を観測しましたが、遠く離れた場所では震度1や2でした。マグニチュードが大きくても震源が遠ければ震度は小さく、マグニチュードがそれほど大きくなくても震源が直下で浅ければ大きな震度となることがあります。
出典・参考リンク:
「震度」と「マグニチュード」とは | tenki.jp マグニチュードと震度 (動画) | NHK for School 気象庁震度階級関連解説表 [PDF] | 気象庁 【解説】"震度"と"マグニチュード"の違いは? (動画) | 日テレNEWS地震による被害
地震が発生すると、揺れそのものによる被害だけでなく、様々な二次的な災害が発生します。
- 建物の倒壊・損壊: 強い揺れにより、家屋やビル、橋などが倒壊・損壊する。家具の転倒・落下による被害も大きい。
- 火災: 地震の揺れで暖房器具が転倒したり、電気配線がショートしたりして火災が発生する。特に木造住宅密集地域では大規模火災(延焼)に発展しやすい。
- 津波: 海底で大きな地震が発生すると、海底地形が変動し、巨大な波(津波)が発生して沿岸部に押し寄せる。津波は破壊力が非常に大きく、広範囲に壊滅的な被害をもたらす。
- 土砂災害: 地震の揺れによって斜面が不安定になり、がけ崩れや地すべりが発生する。
- 液状化現象: 砂質の地盤で、地震の揺れによって地盤が液体のような状態になり、建物が沈下・傾斜したり、マンホールが浮き上がったり、地面から水や砂が噴き出す。沿岸部の埋立地や河川沿いの低地などで発生しやすい。
- ライフラインの寸断: 電気、ガス、水道、通信、交通網などが寸断され、生活に大きな支障が出る。
- 地盤沈下・隆起: 地震によって地面が沈んだり隆起したりすることがある。
出典・参考リンク:
地震では、どのような災害が起こるのか | 首相官邸(3) 平成以降に発生した主な大震災
日本は地震が多く、平成以降も甚大な被害をもたらした大地震が発生しています。
平成7年(1995年) 阪神・淡路大震災

概要: 1995年1月17日早朝、兵庫県南部(淡路島北部)を震源とするM7.3の直下型地震が発生。神戸市などで震度7を初めて観測しました。活断層(野島断層など)の活動による地震です。
被害: 死者6,434人、行方不明者3人、負傷者約4万4千人。家屋全壊約10万5千棟、半壊約14万4千棟。特に神戸市長田区などでの大規模火災、高速道路や鉄道の倒壊・寸断、ライフラインの停止など、大都市が壊滅的な被害を受けました。
教訓: 建物の耐震化の重要性、火災対策、都市機能の脆弱性、初期対応の課題、ボランティア活動の重要性などが浮き彫りになりました。この震災を機に、耐震基準の見直しや防災体制の強化、ボランティア支援のNPO法などが整備されました。
出典・参考リンク:
阪神・淡路大震災教訓情報資料集 | 内閣府 防災情報 1995年1月17日 阪神淡路大震災 地震発生の瞬間 (動画) | ANNnewsCH 被災局サンテレビの記録 阪神淡路大震災 (動画)平成23年(2011年) 東日本大震災

概要: 2011年3月11日午後、三陸沖(宮城県牡鹿半島の東南東沖)を震源とするM9.0の巨大海溝型地震が発生。国内観測史上最大の地震であり、宮城県で最大震度7を観測しました。太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込む境界で発生しました。
被害: 地震そのものの揺れに加え、巨大な津波が東北地方や関東地方の太平洋沿岸を襲い、死者・行方不明者は合わせて約2万2千人(関連死含む)という甚大な人的被害が発生しました。犠牲者の多くは津波によるものです。広範囲での家屋の流失・倒壊、インフラの破壊、そして福島第一原子力発電所事故を引き起こしました。
教訓: 津波対策の重要性(想定を超える津波への備え、避難意識の向上)、原子力災害への備え、広域災害時の情報伝達や支援体制の課題などが明らかになりました。津波避難タワーの整備や防潮堤の強化、災害情報の伝達方法の見直しなどが行われました。
出典・参考リンク:
東日本大震災関連情報 | 消防庁 2011年3月11日 東日本大震災 発生の瞬間映像集 (動画) 東日本大震災巨大津波 (動画) | NPO法人科学映像館 東日本大震災 気仙沼を襲う大津波 (動画) | クライシスTV平成28年(2016年) 熊本地震

概要: 2016年4月14日夜(前震 M6.5 最大震度7)と16日未明(本震 M7.3 最大震度7)に、熊本県熊本地方を震源とする直下型地震が相次いで発生。活断層(布田川断層帯・日奈久断層帯)の活動によるものです。短期間に震度7の揺れが2度発生したのは観測史上初でした。
被害: 関連死を含め死者276人、負傷者約2,800人。家屋全壊約8,700棟、半壊約3万4千棟。熊本城の石垣崩落など文化財にも大きな被害が出ました。連続する強い揺れによる被害の拡大、避難生活の長期化、関連死の問題などが特徴です。
教訓: 連続する大地震への備え、耐震性の低い家屋の危険性、避難所の運営や被災者支援のあり方、関連死を防ぐための対策(エコノミークラス症候群予防など)の重要性が示されました。
出典・参考リンク:
平成28年熊本地震関連情報 | 内閣府 防災情報 2016年4月16日 熊本地震 本震 (動画) | ANNnewsCH 【熊本地震】「あのとき」を振り返る | NHK熊本 【詳しく】熊本地震の被害とは (動画) | NHK熊本 特集1 平成28年熊本地震 | 内閣府 【熊本地震の教訓】命を守る11の防災キーワード | NHK令和6年(2024年) 能登半島地震

概要: 2024年1月1日午後、石川県能登地方を震源とするM7.6の直下型地震が発生。石川県内で最大震度7を観測しました。能登半島北部沖の海底活断層が活動したと推定されています。強い揺れに加え、津波も発生し、沿岸部に被害をもたらしました。
被害: 関連死を含め死者341人、負傷者1,334人(2024年8月21日時点)。家屋の倒壊・損壊が多数発生し、特に古い木造家屋の被害が目立ちました。道路の寸断により半島先端部が孤立状態となり、救助や支援が難航しました。大規模な地盤隆起や液状化、輪島市の朝市通りでの大規模火災なども発生しました。冬場の厳しい寒さの中での避難生活も課題となりました。
教訓: 半島地域など交通網が脆弱な地域での孤立対策、耐震化の重要性(特に古い建物)、冬場の災害への備え、情報伝達のあり方、広域的な液状化対策などが課題として挙げられています。現在も復旧・復興が進められています。
出典・参考リンク:
令和6年能登半島地震関連情報 | 内閣府 防災情報 令和6年能登半島地震の情報 | 気象庁 【令和6年能登半島地震】最新の情報と注意点 | tenki.jp 能登半島地震災害情報マップ | NHK 能登半島地震のメカニズム | 毎日新聞 能登半島地震フォトグラメトリ・マップ | 東京大学 渡邉英徳研究室 1000年に一度の地震” 能登半島地震の発生メカニズムを解説 (動画) | TBS NEWS DIG 2010年~2024年に震度7を観測した地震のまとめ (動画) | NHK(4) 地震の被害を軽減するために
地震はいつどこで起こるかわかりません。被害を最小限にするためには、日頃からの備えが非常に重要です。
ア. 家の中の安全対策
- 家具の固定: タンス、本棚、食器棚、冷蔵庫、テレビなどは、L字金具や突っ張り棒、粘着マットなどで壁や床にしっかり固定する。特に寝室や子供部屋は重要。
- 物の置き方: 重いものは下に、軽いものは上に置く。棚から物が飛び出さないように、扉に留め具をつけたり、滑り止めシートを敷く。
- ガラス飛散防止: 窓ガラスや食器棚のガラス扉に飛散防止フィルムを貼る。
- 避難経路の確保: 玄関や廊下、部屋の出入り口付近に物を置かないようにし、避難経路を常に確保しておく。
イ. 住宅の耐震化
- 耐震診断: 特に1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準で建てられた家は、耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強工事を行うことを検討する。自治体の補助制度などを活用する。
- ブロック塀などの点検: 古いブロック塀や石塀は倒壊の危険があるため、点検・補強または撤去を検討する。
ウ. 備蓄品の準備
- 飲料水・食料: 最低3日分、できれば1週間分を目安に備蓄する(水、アルファ米、缶詰、レトルト食品、お菓子など)。
- 生活必需品: 簡易トイレ、トイレットペーパー、ティッシュ、ウェットティッシュ、マスク、消毒液、常備薬、生理用品、おむつなど。
- 情報・明かり・連絡手段: 携帯ラジオ、予備電池、モバイルバッテリー、懐中電灯、ヘッドライト。
- その他: ヘルメットや防災頭巾、軍手、スリッパや運動靴(ガラス片対策)、ホイッスル、現金(小銭も)、カセットコンロ・ボンベ、防寒・暑さ対策用品など。
- 非常持ち出し袋: すぐに持ち出せる場所に、必要最低限のものをまとめた袋を準備しておく。
エ. 家族との連絡方法・避難場所の確認
- 連絡方法: 災害用伝言ダイヤル(171)、災害用伝言板(web171)、SNSなど、複数の連絡手段を決めておく。遠方の親戚などを連絡中継点とするのも有効。
- 集合場所: 家族が離れ離れになった場合の集合場所を決めておく(例: 避難所、近くの公園など)。
- 避難場所・経路: 自治体が指定する避難場所(指定緊急避難場所、指定避難所)と、そこまでの安全な経路をハザードマップで確認しておく。
オ. 防災訓練への参加・知識の習得
- 地域の防災訓練に積極的に参加し、避難の手順や応急手当などを体験する。
- 地震に関する正しい知識を身につけ、日頃から防災意識を高めておく。
参考リンク:
消防庁防災マニュアル | 震災対策啓発資料 災害時に命を守る一人ひとりの防災対策 | 政府広報オンライン 地震ハザードステーション J-SHIS | 防災科研 「広島県津波浸水想定図」 【全5ケース】南海トラフ巨大地震 津波到達シミュレーション (動画) | クライシスTV 【南海トラフ巨大地震の前兆?】 (動画) | 防災キャスト 「西日本は南海トラフ地震前の“地震活動期”」 (動画) | RCC NEWS DIG 【津波の脅威】1mで想定死亡率100% (動画) | カンテレNEWS [明日をまもるナビ] 南海トラフ巨大地震 (動画) | NHK 地震情報 | Hi-net 高感度地震観測網 | 防災科研 三次元震源分布表示 | Hi-net | 防災科研 南海トラフ巨大地震「新被害想定」公表 私のまちは|NHK南海トラフ巨大地震「新被害想定」まとめ|時事ドットコム
南海トラフ巨大地震「新被害想定」まとめ|時事ドットコム